令和8年7月4日(土)、北ガス文化ホールで「たまゆきの演題発表会2026」(午前)と「ちとせの介護医療連携フォーラム2026」(午後)を開催し、165名にお越しいただきました。
◆ 午前の部
たまゆきの演題発表会2026
演題発表テーマ「1UP!私が『ここで』働く理由」
ちとせで働く、介護・医療・障害福祉の専門職7名が5分間のステージに立ちました。
職種も所属もキャリアもバラバラ。
ですが、全員が問われていたのは同じことでした。
「なぜ、自分はこの仕事を ここで続けているのか?」
幸野さん(千歳市民病院・社会福祉士)
障害福祉から医療へ —— 現場も関わる人も求められることも何もかも違う環境に飛び込んだ経緯を語りながら、相談員として患者様・家族様の「心に寄り添う」とはどういうことかを問い続ける姿を伝えました。
答えを出すより先に、そこにある不安や迷いに寄り添う。
幸野さんが発表で伝えたかったのはそのやりがいであり、「患者・家族の心に寄り添う相談員を目指して」というタイトルはそのまま、今も更新中の目標です。
増子さん(やさしい介護桂木・介護主任)
今の職場で働くまで「もう介護はしない」と決意していたと話しました。
転機は、単発勤務アプリで偶然出会った今の職場でした。
「人柄を重視する」という管理者の一言が、考えを変えた。
「環境が人を変える」という実体験を持つ彼女は今、次の世代に働く楽しさを伝えることを目標にしています。
前田さん(株式会社TARUO・管理者)
他業種や専業主婦、パート勤務など多様な働き方を経て、現在の仕事に就き、「障がい名にとらわれず一人ひとりの特性に寄り添う」支援に行き着いたことを話しました。
演題タイトルの「ありがとう」には、関わる全ての人たちへの感謝と未来への希望で溢れていました。
鈴木さん(千歳豊友会病院・認定作業療法士)
働き始めは日々の業務で手一杯だった、5年前に実習生を受け持って自分の力不足を痛感し、認定資格を取ることを決意した。
大変な道のりを歩み続ける原動力になったのは、初めて担当した患者様の言葉でした。
これまでの多くの出会いは何もにも代えがたく、「僕が一番欲しかったものが、少しだけ手に入った気がする」という締めくくりは、これからも前に進もうとする鈴木さんの意志を感じました。
稲葉さん(ぐろーあっぷまくあけ千歳・GH事業部管理者)
「障害福祉を選んだ理由は特別なものではなかった」と言いながら、この仕事が「人間とは何か」を問い続ける場所になったと語りました。
利用者様を「本当の意味では理解しきれない」。
それでも見続け、考え続け、対話を重ねる。
演題タイトル「ズレているから支え合える」は、その構えそのものです。
八木橋さん(ナーシングビラ向陽台・介護福祉士兼相談員)
仕事を始めて5日目に新型コロナウイルスに感染したことから話し始めました。
何もできないまま迷惑をかけた新人を職場は責めなかった。
「戻ってきたら一緒に頑張ろう」という言葉が、未経験だった彼を介護の世界につなぎとめています。
蒲原さん(千歳病院・精神保健福祉士)
語ったのは、支援者としての失敗でした。
入職したばかりの頃、必死になるあまり患者様の「人生のハンドルを横から操縦しようとしていた」と気づいた。
今は、患者様自身がハンドルを握り直せるよう、「ともに目的地を目指して歩む支援者でありたい」と話された。
座長の古泉圭透先生(古泉循環器内科クリニック院長・本会特別顧問)は抄録にこう書いています。
「発表者のトレーニングというより、私たちが新しい感性を学ぶ場というニュアンスの方が大きくなりました。」現場で積み重ねてきた人が、ある日突然「1up」する瞬間に立ち会う場、それがこの発表会の正体です。
参加者からの「発表者と直接話せる時間がほしい」「ベテランの発表会もあれば面白い」という声は、その場にいた人たちが、もっとこの時間を続けたかったということだと思います。
来年は、もっとたくさんの方に聞いてもらい、届けてもらい、一緒に地域の皆様と介護・医療・障害福祉の専門職が繋がる時間を作りましょう!
◆ 午後の部
ちとせの介護医療連携フォーラム2026
「暮らしの整理と心の準備」
午後のプログラムでは、総合診療医による講演、地域で働く若手従事者による演劇、そして、総合診療医、司法書士、地域包括支援センターの専門職が登壇する座談会を開きました。
向陽台ファミリークリニック 院長 中島徹先生が「大切な人が話せなくなったら」と題して講演しました。
中島先生が問いかけたのは、「延命治療はしない」という言葉の曖昧さです。
肺炎で入院すれば治るかもしれない。
心臓マッサージで回復するかもしれない。栄養さえ入れれば元気に過ごせるかもしれない——そのたびに、一言の意思表示は通用しなくなる。
だから必要なのは「決める」ことではなく、「なぜそう考えているのか」を繰り返し話し合うプロセスだと伝えました。

わかばの会が演じた演劇「母がいない家〜残された家族の探し物〜」は、家のすべてを一人で管理していた母が突然倒れる場面から始まります。
通帳の場所も、スマホの暗証番号も、親戚への連絡先も、何もわからない父と娘。ようやく見つけたノートには「延命治療はしない」と一言だけ。
でも、なぜそう思っていたのかは書かれていない。
講演で「知った」ことを、演劇で「自分ごと」にする。
この順番でなければ、ここまで届かなかったと思います。
「8年前の我が家の状態を、今日の演劇で見ることができました」という感想が、それを表しています。

座談会「あの時、話しておけば。」では、中島先生、司法書士の杉本真由子先生、千歳市南区包括支援センターの石垣恵子センター長が、それぞれの立場から話しました。
「家族が決めたことが本人の意思でもある」と石垣センター長の言葉、「相談は早ければ早いほどできることが増える」という杉本先生の言葉が、参加者の感想に繰り返し登場しています。

◆ アンケートに届いた、続く困りごと
「おひとりさまの老後の身元保証人が心配」
「一人暮らしで子どもは遠方に。急に具合が悪くなったらどうすればいいか」
「認知症の夫が施設を転々とし、リハビリも受けられず寝たきりに向かっている」——。
フォーラムが終わっても、これらの困りごとは続きます。
どこに相談すれば良いかわからない時も、まずは誰でもいいので皆様の周りの介護・医療・障害福祉で働く人にご相談ください。
千歳には、その一言を受け取って、必要なところへつなぐことができる人たちがいます。
今日、同じ場所にいた人たちが、その一人です。
◆ おわりに
午前と午後、テーマは違います。
でも根っこは同じでした。
「自分のことを、自分の言葉で話す」。
発表者がステージでそれをやり、来場者が客席でそれを受け取り、座談会でそれが会場全体に広がった一日でした。
こういう場があることが、地域の力だと思っています。顔が見える、声が届く、話せる人がいる。
それがそのまま、いざというときの安心にも繋がります。
地域に住む人、働く人、みんなで地域をつくっていきましょう。
今年参加した方、来られなかった方も、ぜひ次回ご一緒しましょう。
またこの場所でお待ちしています(^^)/




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