【研修報告】「誤嚥=とろみ」じゃなかった。— 嚥下亭コース① を開催しました

イベント報告

6月24日(水)、北ガス文化ホールにてちとせの介護医療連携カレッジ 2026「嚥下亭コース①」を開催しました。

講師は、市立千歳市民病院 耳鼻咽喉科 診療部長の渡邉 一正 先生
看護師・ケアマネジャー・介護福祉士・理学療法士・管理栄養士・歯科衛生士など、12職種にわたる21名が集まり、「食べること・飲み込むこと」を多職種で一緒に考える時間となりました。


「むせたら、とにかくとろみ」——その思い込み、大丈夫ですか?

現場で誤嚥が疑われるとき、「まずとろみをつけよう」と判断する場面は少なくないと思います。
しかし今回の研修で、参加者の多くが気づいたことがあります。

とろみが助けになるケースと、逆効果になるケースがある。

それを分けるのは、「むせるタイミング」です。

飲み込んだ瞬間にむせる場合は、嚥下の瞬間に気道へ液体が入り込んでいる可能性があり、とろみが有効です。
一方、飲み込んでから少し時間が経ってからむせる場合は、食道や咽頭に残った食物が後から気道に流れ込む「咽頭残留」が原因のことがあり、そこにとろみをつけると残留しやすくなって逆効果になりかねません。

「誤嚥=とろみ」という図式が、必ずしも正しいわけではない——この気づきが、今回の研修の大きな柱のひとつでした。


嚥下は「一瞬」じゃない。フェーズで見ることの大切さ

渡邉先生の講義では、食べ物が口から胃に届くまでのメカニズムが丁寧に解説されました。
嚥下は複数のフェーズ(先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期)に分かれており、どのフェーズに問題があるかによって、観察すべきポイントも対応の方向性も変わってきます。

また、誤嚥にはむせを伴わない「不顕性誤嚥」があることも改めて確認されました。
見た目には問題がないように見えても、知らないうちに気道に食物が入り込んでいるケースがあり、これが肺炎の原因になりうる——日常ケアの中での「見えにくいリスク」への意識が高まった場面でした。

参加者のアンケートには、こんな声が寄せられています。

「嚥下のフェーズに合わせた注意点が理解できた」
「不顕性誤嚥についての知識を得た。観察の仕方を変えていきたい」
「嚥下状態の評価は一概には難しく、不安があれば受診が必要であると再認識した」


「食べること」の悩みは、一職種では抱えきれない

グループワークでは、職種を越えた意見交換が行われました。

食事介助をする介護士、栄養管理をする管理栄養士、嚥下評価に関わる言語聴覚士(今回は参加なしでしたが話題に)、受診判断をするケアマネジャー——それぞれが「食べること」に関わりながら、見えている場面も持っている情報も異なります。

参加者の言葉の中に、こんな気づきがありました。

「食べることに悩んでいる方・向き合っている方が多く、多職種での情報共有の重要性を感じた」
「栄養を大切に考える家族の思いを尊重しながら、患者にとって良い栄養摂取方法を納得してもらうための説明方法を考える機会となった」

正解はひとつではなく、本人・家族・多職種が話し合いながら「その人にとっての食べ方」を見つけていく——そのプロセスを支える視点が、参加者の中に広がった研修でした。


カレッジで広がる「顔の見える関係」

アンケートでは、参加目的への合致率が100%(「合致していた」95%、「概ね合致していた」5%)という結果でした。開催時間についても90%が「適当」と回答し、「もっと先生の話を聞きたかった」「質問する時間がほしかった」という声も届いています。

職種や事業所の違いを越えて、同じテーブルで「食べること・支えること」を考える——そういった場が積み重なることが、地域の連携をつくっていきます。嚥下亭コース①は、そんな場のひとつになれたと感じています。


次回のカレッジのご案内

嚥下亭コース②以降も継続開催を予定しています。「嚥下体操・予防的アプローチについて学びたい」「もっと深く知りたい」というご要望も多数いただいており、今後のテーマに反映してまいります。

次回の開催情報は、このブログおよびセンターのSNSでお知らせします。ぜひご注目ください。

📩 お問合せ:NPO法人 ちとせの介護医療連携の会
TEL:0123-49-3330 MAIL:chitose.renkeicenter@gmail.com

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